宣言

文:プロデューサー 北村明広

昭和40年に生まれた。
ミラクルジャパンは戦後復興をとうに終え、経済大国へと力強く歩んでいた。
戦争を体験した親世代や、焼け野原に生まれた先輩世代は、自分たちのような思いをさせたくないと、明るい日本のために懸命に働き次々にミラクルを起こした。
加えて、我々世代に向けてたくさんの愛を注いでくれたのだ。
比べてみると、自分たちが社会へと与えたエネルギーは減少しているではないか。40歳になった頃、やっと気がついた。ここに生きる意味を見出した。

44歳にして立ち上げた年齢限定雑誌では、同世代に向けて我々こそが社会の中間管理職者なのだとして、親世代や先輩世代以上の活躍を促すメッセージを出し続けた。
「明日への元気と夢を満載!」をコンセプトにして、自分たちの成長期にあった勢いや込められた熱と愛を再確認することを主眼にして、発行を続けた。

この考えをより高い次元で整理して、59歳時に書籍「俺たちの昭和後期」を上梓した。
ここでも同様に、大人たちの愛ある仕事から受けた恩恵を、社会に還元するのだと訴えた。
年齢限定雑誌で標榜した元気と夢に加えて、情緒の伝承を訴えた。

そもそも日本人は太古より四季を愛でてきた。
季節の移ろいから、やさしさだけでなく厳しさも受け入れながら、慎ましやかに生きてきた情緒豊かな精神がある。
現代人にも標準装備されている、DNAレベルの心だとした。

昨今、分断社会が進む渦中にある。
これに対しては、情緒こそが特効薬なのだとして昭和を愛する者たちに呼びかけたのだ。
情緒の伝承者になるべきだと。

先人たちに比べたら、社会への貢献よりも恩恵の享受が断然大きい。
このままでは食い散らかし世代なのだとして、これからの奮闘で返していきたい。
拙著「俺たちの昭和後期」に続けて、スピリットを実現させる総仕上げが『還暦維新』である。
生涯現役で、このスピリットブランドを育てていくことを、ここに宣誓させていただく。

Profile

北村明広

昭和40年7月/東京都荒川区

下町の電気屋に育つ。ミュージシャン、広告代理店勤務を経て、1992年に会社設立。94年にバイク雑誌の創刊に関わり、98年に編集長就任。編集長&プロデューサーとして、経営会社よりバイク雑誌を5誌創刊。2006年に音楽雑誌『音に生きる』を同様の立場で創刊。2009年10月に同立場で「世にも珍しい年齢限定男性誌」のふれ込みで『昭和40年男』を立ち上げた。以降、2023年1月の77号まで携わった。
2025年4月には初の著書「俺たちの昭和後期」をワニブックスより上梓して、昭和論者としての立ち位置を確立し、メディアへの対応に追われた。
現在は『昭和100年祭』『昭和びと秘密基地』『還暦維新』の各ブランドを主宰。イベント、執筆、コラボ企画などを展開。他方、コミュニケーションデザイナーとして、情緒ある日本を目指す。